関西地方では、高齢化の進行により、介護施設や高齢者向け住まいの需要が長期的に高まりやすい環境にあります。特に大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県などでは、地域によって人口動態や生活圏の形が異なるため、「介護施設が足りない」という一言だけでは、土地活用の判断はできません。
介護施設不足とは、単に建物の数が足りないという意味だけではありません。入居希望者の増加、介護職員の確保、運営事業者の採算性、建築費の上昇、地域ごとの土地条件などが重なって起こる市場変化です。
関西地方を中心に、介護施設不足と土地活用市場の変化を整理し、土地所有者や賃貸経営者が有料老人ホームなどの福祉施設活用を検討する際に確認したいポイントを解説します。
介護施設不足は「高齢者が増えるから建てればよい」という単純な話ではないことも
高齢者人口の増加は、介護施設需要を考えるうえで重要な要素です。内閣府の高齢社会白書では、大都市圏を含めて高齢化が進む見通しが示されており、大阪府でも将来的に高齢化率の上昇が見込まれています。
ただし、介護施設の不足を考える際には、施設数だけでなく、介護職員の確保も欠かせません。厚生労働省は、第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について、2026年度に約240万人、2040年度に約272万人が必要になると公表しています。
つまり、土地活用として介護施設を検討する場合は、「その地域に高齢者が多いか」だけでなく、「運営事業者が継続的に人材を確保できるか」「医療・介護・生活支援の連携が取りやすい場所か」まで確認する必要があります。
参考:内閣府 令和6年版高齢社会白書、厚生労働省 第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
関西地方で介護施設需要が意識されやすい理由
関西地方は、大阪市のように交通利便性が高く人口流入のある都市部と、大東市、門真市、東大阪市、四條畷市などの生活圏に近い住宅地が混在しています。都市部では土地価格や建築費の負担が大きくなりやすい一方、郊外や住宅地では生活圏に近い施設ニーズが生まれやすい傾向があります。
介護施設は、駅前一等地でなければ成立しない用途ではありません。むしろ、家族が訪問しやすい道路付け、近隣の医療機関との距離、スーパーや公共施設など日常生活圏との近さ、送迎車や緊急車両の出入りがしやすいことなどが重要になります。
そのため、一般的な賃貸マンションや駐車場では収益性に不安がある土地でも、福祉施設向けの土地活用として検討余地が出る場合があります。大阪での土地活用全体を確認したい方は、大阪で土地活用を検討する方へも参考になります。
土地活用市場で起きている変化とは?
近年の土地活用市場では、賃貸マンション、駐車場、倉庫、売却だけでなく、医療・介護・福祉系の用途を比較対象に入れるケースが増えています。背景には、高齢化だけでなく、建築費の上昇、賃貸住宅の競争激化、空室リスクへの不安があります。
国土交通省の建設工事費デフレーターは、建設工事にかかる名目工事費を実質額に変換するための指標として公表されています。土地活用を検討する際は、過去の建築費や以前聞いた利回りだけで判断せず、直近の建築費や借入金利、想定賃料をもとに再計算することが重要です。
介護施設による土地活用が検討される主な土地条件
有料老人ホームなどの介護施設活用は、どの土地にも向いているわけではありません。一般的には、次のような条件を確認します。
- 住宅地や生活圏に近く、入居者の暮らしを想定しやすい土地
- 車両の出入りや駐車スペースを確保しやすい土地
- 近隣に医療機関、薬局、スーパー、公共施設などがある土地
- 一定の建物面積を確保できる形状・接道条件がある土地
- 用途地域や建築制限を確認したうえで、福祉施設の計画が可能な土地
土地の広さだけでなく、道路付け、周辺環境、用途地域、建築計画、運営事業者の体制まで含めて判断することが大切です。基本的な考え方は、老人ホームが土地活用に向く理由でも整理しています。
賃貸マンションとの比較で見たいポイント

土地活用を検討する際、賃貸マンションと有料老人ホームを比較する方も少なくありません。どちらが良いかは、土地の場所、建築費、借入条件、運営方法、空室リスク、管理負担によって変わります。
賃貸マンションは一般的な土地活用として検討しやすい一方、地域によっては新築時の賃料設定、将来の空室、修繕費、競合物件との差別化が課題になります。一方で、有料老人ホームは運営事業者との契約内容や一括借上の条件、建物仕様、行政・法令面の確認が重要になります。
そのため、表面利回りだけで判断するのではなく、長期の収支、修繕負担、契約内容、出口戦略を比較することが必要です。詳しくは、賃貸マンションと有料老人ホームの比較や、有料老人ホーム土地活用の利回りもあわせて確認してください。
関西で検討する場合は、地域ごとの需要を分けて考える
同じ関西地方でも、大阪市中心部、東大阪市、大東市、門真市、四條畷市、兵庫県南部、京都府南部、奈良県北部では、土地価格、人口構成、交通環境、医療機関の分布が異なります。
たとえば、大阪市内では利便性が高い一方で土地価格や建築費の負担が大きくなりやすく、郊外の住宅地では生活圏に近い施設としての役割が見込まれる場合があります。東大阪市や大東市のように住宅地と事業用地が混在するエリアでは、土地の形状や前面道路によって、賃貸住宅よりも福祉施設の方が検討しやすいケースもあります。
地域別の土地活用を確認したい方は、大東市での土地活用、東大阪市での土地活用、門真市での土地活用、四條畷市での土地活用も参考になります。
土地所有者が確認したい5つの視点
介護施設不足という社会的な背景があっても、すべての土地で介護施設活用が成立するわけではありません。検討段階では、次の5つを整理しておくと判断しやすくなります。
| 確認項目 | 見るべき内容 |
|---|---|
| 地域需要 | 高齢者人口、周辺施設、医療機関、競合施設の状況 |
| 土地条件 | 面積、形状、接道、駐車スペース、用途地域 |
| 建築計画 | 建築費、構造、部屋数、共用部、将来修繕 |
| 運営体制 | 運営事業者、医療連携、介護人材、管理体制 |
| 収支計画 | 賃料、一括借上条件、借入金利、固定資産税、長期収支 |
特に、介護施設活用では運営体制の確認が重要です。建物だけを整えても、運営事業者や医療連携が安定していなければ、長期的な土地活用として成立しにくくなります。かいこうホームの連携体制については、パートナーもご確認ください。
介護施設不足を土地活用の判断材料にする際の注意点
介護施設不足という言葉は、土地活用を考えるきっかけにはなります。しかし、需要があることと、収益事業として成り立つことは別です。
検討時には、行政の整備方針、介護人材の採用環境、建築費、近隣住民への説明、運営事業者との契約条件などを確認する必要があります。また、地域によっては既存施設が多く、単純な新規開設では差別化が難しい場合もあります。
厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査では、介護保険施設の施設数、定員、利用率、従事者数などが公表されています。土地活用の検討では、こうした公的データと、現地の生活圏・競合状況の両方を見ることが重要です。
参考:厚生労働省 令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況
関西の土地活用は、介護需要と事業性を分けて確認することが大切です

関西地方では、高齢化の進行により、介護施設や高齢者向け住まいの需要は今後も意識されやすくなります。一方で、介護人材不足や建築費高騰、地域ごとの競合状況もあり、介護施設不足だけを理由に土地活用を決めるのは慎重に考えるべきです。
有料老人ホームによる土地活用は、住宅地や生活圏に近い土地、道路付けの良い土地、医療・介護連携を組みやすい土地では、検討候補になり得ます。ただし、土地条件、建築費、運営体制、契約内容、長期収支を一つずつ確認することが欠かせません。
相続予定の土地、遊休地、築年数が進んだ賃貸物件、駐車場や倉庫として使っている土地の今後に迷われている場合は、まず現在の土地条件を整理することから始めてみてください。
かいこうホームでは、大阪府内を中心に、有料老人ホームを含めた土地活用の可能性を確認しています。土地の広さや場所だけで判断せず、地域需要、建築計画、運営体制、収支のバランスを一緒に確認したい方は、お問い合わせよりご相談ください。