コラム

建築費高騰で賃貸マンション経営は限界?利回り低下時代の土地活用

建築費高騰で賃貸マンション経営は限界?利回り低下時代の土地活用

建築費高騰で「普通に賃貸マンションを建てれば収益化できる」時代ではなくなってきた

土地活用を検討するオーナーにとって、近年もっとも大きな悩みのひとつが建築費の高騰です。

以前であれば、土地に賃貸マンションやアパートを建て、家賃収入によって長期的に回収していくという考え方が、比較的わかりやすい選択肢でした。

しかし現在は、木材・鉄骨・コンクリートなどの資材価格に加え、人件費や施工管理コストも上がりやすい状況が続いています。

その結果、土地オーナーの間では、次のような不安が大きくなっています。

  • 賃貸マンションの見積もりを取ったら、想定より建築費が高かった
  • 家賃を高く設定しないと利回りが合わない
  • 周辺相場を考えると、そこまで高い家賃は取りにくい
  • 普通に賃貸マンションを建てても、収支が回らないのではないか

土地活用は、建てれば終わりではありません。建築費を回収し、修繕費や管理費、借入返済を見込みながら、長期的に安定した収益を得られるかどうかが重要です。

建築費が上がっている今、従来と同じ感覚で賃貸マンション経営を計画すると、完成後の収支に無理が出る可能性があります。

国土交通省の建設工事費デフレーターや公共工事設計労務単価の公表資料からも、建設コストや労務費の上昇傾向を確認できます。こうした背景から、賃貸マンション経営では建築費と家賃収入のバランスを、以前より慎重に見る必要があります。

賃貸マンション経営の利回りが下がりやすくなっている理由

賃貸マンション経営の収益性は、主に次の要素で決まります。

  • 建築費
  • 家賃収入
  • 入居率
  • 管理費
  • 修繕費
  • 借入金利
  • 固定資産税などの税負担

このうち、近年特に重くなっているのが建築費です。

建築費が上がると、同じ家賃収入でも投資回収に時間がかかります。つまり、表面上の家賃収入が変わらなくても、初期投資が増えれば利回りは下がります。

たとえば、以前なら1億円台で計画できた賃貸マンションが、資材費や人件費の上昇によって大きく予算を超える場合、同じ家賃収入では当然ながら収支は悪化します。

さらに、賃貸マンションやアパートは周辺の賃貸相場に左右されます。

建築費が上がったからといって、家賃を自由に上げられるわけではありません。周辺に築浅物件や競合物件が多いエリアでは、家賃設定を強気にしすぎると空室リスクが高まります。

つまり、現在の賃貸マンション経営では、建築費は上がる一方で、家賃は大きく上げにくく、空室リスクや将来の修繕費も残る構造になりやすいのです。

これが、「賃貸マンション経営はもう限界なのではないか」と感じるオーナーが増えている理由です。

RC造・鉄骨造の賃貸マンションは、建築費高騰の影響を受けやすい

RC造賃貸マンションの建築現場でコンクリートを流し込む作業風景

土地が広い場合、木造アパートではなく、RC造や鉄骨造の賃貸マンション建築を検討するケースもあります。

しかし、賃貸マンション建築は建築費高騰の影響を強く受けます。

特にRC造や鉄骨造は、構造上の安心感や耐久性がある一方で、木造アパートに比べて建築費が大きくなりやすい傾向があります。また、エレベーター、共用部、給排水設備、外壁、屋上防水など、将来的な修繕範囲も広くなります。

規模を大きくすれば、満室時の収入は増えます。しかしその分、初期投資も大きくなり、空室が出た場合の影響も大きくなります。

特に、地域によっては人口動態や世帯数の変化により、賃貸住宅の需要が将来的に伸びにくいエリアもあります。

そのため、賃貸マンション建築を検討する場合も、次のような視点が欠かせません。

  • 本当にその戸数を長期的に埋められるのか
  • 周辺家賃で収支が合うのか
  • 長期修繕まで含めて回るのか
  • 将来的な競合物件に勝てるのか

「土地が広いから賃貸マンション」「駅から近いから賃貸住宅」という単純な判断だけでは、建築費高騰時代の土地活用としてはリスクが残ります。

アパート経営も含め、コスト削減だけでは限界がある

建築費が高くなると、多くのオーナーはまずコスト削減を考えます。

もちろん、不要な仕様を見直すことは大切です。過剰な設備、使いにくい間取り、将来的な維持費がかかりすぎる設計は、早い段階で見直すべきです。

しかし、コスト削減には限界があります。

安全性や耐久性に関わる部分を削りすぎると、将来的な修繕費や入居者トラブルにつながる可能性があります。また、賃貸マンションやアパートの場合、設備や外観の魅力を落としすぎると、入居者に選ばれにくくなることもあります。

つまり、建築費高騰への対策は、単に「安く建てる」ことではありません。

大切なのは、建築費に対して、どのような収益構造を組み合わせるかです。

同じ土地でも、一般賃貸住宅として考えるのか、事業用建物として考えるのか、高齢者向け施設として考えるのかによって、収支の見え方は変わります。

賃貸マンション経営が難しい土地でも、有料老人ホームという選択肢がある

高齢者が多く行き交う地域の商店街と有料老人ホーム需要を表すイメージ

建築費高騰の影響を受けるのは、有料老人ホームなどの高齢者施設も同じです。

ただし、賃貸マンション・アパート経営と大きく違うのは、収益の考え方です。

一般的な賃貸マンション経営では、個別の入居者を集め、空室が出ればその都度募集を行います。家賃収入は入居率に左右され、周辺の賃貸相場にも影響を受けます。

一方、有料老人ホームなどの土地活用では、運営会社との長期賃貸借や一括借上げに近い形を検討できる場合があります。

もちろん、すべての土地で成立するわけではありません。立地、面積、道路付け、用途地域、周辺の医療・介護需要、運営会社の事業計画などを総合的に見る必要があります。

特に、かいこうホームが専門とする大阪東部エリアでは、東大阪市・大東市・門真市・四條畷市などを中心に、一般の賃貸マンションやアパートとしては判断が難しい土地でも、高齢者施設としては可能性が見えてくるケースがあります。

たとえば、準工業地域、ロードサイド、幹線道路沿い、駅から少し距離のある土地などは、一般賃貸住宅では入居者募集に不安が残ることがあります。

しかし、高齢者施設の場合は、駅距離だけでなく、車でのアクセス、医療機関との距離、生活圏、敷地の使いやすさ、送迎や搬入のしやすさなども重要になります。

そのため、賃貸マンション経営では評価しにくい土地であっても、有料老人ホームや福祉施設としては、運営会社にとって魅力のある立地になる可能性があります。

条件が合う土地であれば、一般賃貸住宅とは異なる収益モデルを組み立てられる可能性があります。

高齢者施設の場合、単に「住む場所」を提供するだけでなく、介護・医療・生活支援のニーズと結びついた不動産活用になります。

そのため、賃貸マンション経営のように周辺の家賃相場だけで判断するのではなく、次のような視点が重要になります。

  • 地域に高齢者施設の需要があるか
  • 運営会社が事業として成立すると判断できるか
  • 医療機関や生活圏との相性がよいか
  • 長期的に必要とされる用途か

また、内閣府の高齢社会白書でも、高齢化の状況や高齢社会対策が継続的に示されています。土地活用を考える際には、現在の賃貸需要だけでなく、地域の高齢者人口や介護・医療ニーズの変化も確認しておくことが大切です。

建築会社選びで、開業後の安定まで変わる

有料老人ホームや福祉施設の土地活用では、建物を建てることだけが目的ではありません。

開業後に入居者を受け入れ、運営会社が安定して事業を続けられる建物であることが重要です。

そのためには、建築費を抑えるだけでなく、介護動線、スタッフ動線、居室配置、共用部、浴室、厨房、駐車場、搬入口、将来の修繕性まで含めて考える必要があります。

一般住宅や通常の賃貸マンションとは異なり、有料老人ホームは「運営しやすい建物」であることが、長期的な安定につながります。

この視点を持たずに建築費だけで判断すると、開業後に使いにくさが出たり、運営会社の負担が増えたりする可能性があります。

建築会社や施工パートナーの考え方によって、建物完成後の運営安定性は大きく変わります。詳しくは、建築会社で、開業後の安定まで変わりますのページでも紹介しています。

建築費高騰時代は「何を建てるか」より「誰が使い続けるか」が重要

これからの土地活用では、建物そのものよりも、完成後に誰が使い続けるのかを考えることが重要です。

賃貸マンションやアパートの場合、入居者は個人です。入退去があり、空室があり、家賃競争があります。

一方、福祉施設や高齢者施設の場合、利用者の背景には運営会社、介護サービス、医療連携、地域の高齢者需要があります。

つまり、建物を建てて終わりではなく、事業として長く使われるかどうかが重要になります。

建築費が上がっている時代ほど、初期投資の大きさだけでなく、長期的な使用価値を見る必要があります。

土地活用で失敗しないためには、「どの建物が一番安いか」「どの建物が一番大きく建てられるか」だけではなく、次のような点を確認することが大切です。

  • 長く借りてもらえる可能性があるか
  • 地域に必要とされる用途か
  • 運営する事業者が成立しやすいか
  • 将来の修繕や管理まで見通せるか

土地活用の見直しは、建築会社に相談する前から始めたい

建築費高騰時代の土地活用では、いきなり建築プランや見積もりを取る前に、まず事業の方向性を整理することが重要です。

なぜなら、建築会社に相談すると、どうしても「何を建てるか」という話から始まりやすいからです。

しかし本来は、次のような点を先に確認する必要があります。

  • その土地でどの用途が成立しやすいのか
  • 賃貸マンション経営で本当に収支が合うのか
  • アパート経営よりも別の活用方法が適していないか
  • 有料老人ホームなどの高齢者施設としての可能性はあるのか
  • 運営会社が借りたい土地なのか

特に有料老人ホームなどの高齢者施設は、建物の設計だけでなく、運営会社の考え方や地域需要との相性が重要です。

建物を建ててから運営会社を探すのではなく、早い段階で「この土地で事業として成立するか」を確認することが大切です。

建築費高騰時代の土地活用は、賃貸マンション経営だけで判断しない

賃貸マンションと有料老人ホームなど複数の土地活用を比較する天秤のイメージ

建築費高騰により、従来の賃貸マンション・アパート経営は以前よりも収支計画が難しくなっています。

資材費や人件費が上がる一方で、家賃を大きく上げられないエリアでは、初期投資に対する利回りが低下しやすくなります。

もちろん、賃貸マンション経営やアパート経営がすべて悪いわけではありません。立地や需要、競合状況によっては、今でも有効な選択肢になる場合があります。

ただし、これから土地活用を考えるのであれば、従来型の賃貸住宅だけで判断するのではなく、有料老人ホームなどの事業用土地活用も含めて比較することが大切です。

建築費が高い時代だからこそ、安く建てることだけを考えるのではなく、長く使われる建物、地域に必要とされる用途、安定した収益につながる活用方法を検討する必要があります。

土地活用で大切なのは、建てる前の判断です。

「普通に賃貸マンションを建てても利回りが合わないかもしれない」

そう感じた段階で、一度、別の活用方法も含めて検討してみる価値があります。

参考外部リンク

本記事では、建築費高騰や高齢者施設需要を考えるうえで、以下の公的資料を参考にしています。

賃貸マンションの見積もりを見て「利回りが合わない」とお悩みの方へ

かいこうホームでは、その土地で賃貸マンションを建てた場合と、有料老人ホームなどの福祉施設として活用した場合を比較し、25年間を想定した手残りシミュレーションの作成をご相談いただけます。

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